保育士は国家資格です。ひとり親家庭や共働きなどの理由で家庭で保育ができない0歳から18歳までの子どもたちに、食事や排せつ、遊びなどの面倒を見る能力があることを証明する資格です。国家試験を受ける必要があり、職場はほとんどが保育園となります。それ以外にも、乳児院や児童養護施設などへの勤務があり、人手不足の業界ですのでこの資格を持つ人達は就職や転職がしやすいともいわれています。
保育士試験の受験資格要件
希望すれば誰でも受験できるわけではなく、一定以上の実務経験がある人に資格が与えられます。つまり、いくら知識が豊富であっても、実務経験者でなければ受験できないということです。児童福祉法で認められた施設、たとえば助産施設や乳児園、母子生活支援施設、保育所、児童養護施設、児童自立支援施設、児童家庭支援センター、障害児入所施設などに2年以上勤務して、勤務時間の合計が2,880時間以上になれば資格が得られます。
他にも、「子育て支援交付金の交付対象事業等について」に規定するべき保育所・障害者支援施設等・グループ型小規模保育事業・放課後児童クラブ等に勤務をした人は、受験を希望する都道府県知事の認可を受けることで受験する資格が与えられます。また、学歴には関係なく、これらの5種類の施設で5年以上勤務して、なおかつ勤務時間の合計が7,200時間以上になれば受験できるようになります。
受験資格を得るために保育士養成の大学や短大、専門学校に通う人が多いのですが、この場合は卒業すれば卒業後に保育士になることができます。もっともスムーズなルートであり、早い段階で目指すのであれば楽に実現できます。ただし、社会人になってから目指す人もいますし、子どもを産んでから働き始めるのにこの仕事を選ぶ人もいます。その場合は、養成する大学や短大、専門学校に入学するのは大変ですので、別のルートを模索する必要があります。
一般の大学出身で2年以上在籍していて、なおかつ62単位以上習得している場合や、短大、高等専門学校を卒業しているのなら、試験を受けて合格できれば資格を取得できます。また、児童福祉施設で2年以上の実務経験がある場合も同様であり、これらのルートは高校を卒業していることが前提になっています。義務教育修了者の場合には、児童福祉施設で5年以上の実務経験があれば試験を受けられます。
このように受験資格には様々な規定や条件がありますが、条件に該当しない場合でも実務経験を重ねることで試験を受けられるようになります。児童福祉法に基づいて設立された認可施設での実務経験が原則2年以上となっていて、詳細を見ていくとただ単に2年間働けば良いのではなくて、1日に6時間以上かつ1カ月に20日以上という条件をクリアしなければなりません。検討している勤務先が保育士試験の受験資格認定基準になっているかどうかは、事前に調べてから決めなければなりません。せっかく勤務しても該当しなければ、また別の場所に勤務して実績を作らなければなりませんので、時間がかかってしまいます。問合せ先は勤務先に直接たずねてみるのも良いですし、各都道府県に問い合わせれば教えてもらえます。
認可外保育施設であっても受験資格認定基準を満たしている施設もある
さて、ここで問題になるのが認可外保育施設の取り扱いです。認可外保育施設であっても行っている保育の内容は同じようなものであり、勤務を続ければ実務経験が身につくはずです。実は、以前は認可外保育施設での実務経験は認められていなかったのですが、平成24年の4月から認められるようになりました。ただし、全ての認可外保育施設が該当するわけではなく、都道府県等に届け出を行って都道府県等の定める認可外保育施設の指導監督基準による指導監督対象となっている施設であることが条件です。この条件をクリアしていれば認可外であっても受験資格が得られますので、この辺りをきちんと確認することが大切です。
取り扱いが変更になる前に資格を取得した人に話を聞くと認可外では受験できないと言われてしまうことが多いのですが、途中で制度が変わることもありますので、制度の変更についても逐一チェックしておきたいところです。最近では保育園不足が深刻な社会問題になっていますので、認可外の施設もかなり増えているようです。認可保育園での募集がなくても、認可外ならまだ空きがあるというケースも多いので、選択肢の一つとして覚えておくと便利です。受験資格ができたら、あとはいよいよ試験を受けて合格を目指していきます。合格を目指すには、各科目で6割以上の得点を取らなければなりませんので、きちんと勉強をして準備を怠らないようにしましょう。試験科目は9科目で、一部科目免除の制度もあります。合格した科目は3年間持ち越せますので、何年かかけて取得する方法もあります。合格率は10%台前半となっていて、難易度は科目によってかなり変わりますので、過去問題に取り組むことも忘れてはいけません。