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認可外保育施設での保育士の労働環境

認可されている保育施設、認可外保育施設での違いは国の設置基準を満たしているかどうかの違いですが、認可されていないから認可されている保育施設よりも不十分、劣っているというわけではありません。むしろ、認可外保育施設の方が柔軟性があり、時間の融通も利きやすいということで、夜遅くまで働く人にとっても、子どもをしっかりと面倒を見てくれるということもあり、とても満足して利用する人もいます。その一方、そこで勤務をする保育士にとってみれば、色々と大変なこともあり、労働環境としても厳しいものがあります。

認可外保育施設の収入源は保育料が中心

認可外保育施設は国や自治体の援助がないため、保護者からの保育料がほぼ唯一の収入源となります。すると、保護者にとってメリットのあることをできるだけしない限り、人が来ないというジレンマがあります。特に夜遅くまで預かってほしいというところは多いため、そこに目をつけて、保育士などを集めて深夜までやっている保育施設を開業した場合、いかに深夜も回していくかということになっていきます。そうなると、保育士の中には夜勤をする人も出てくるようになり、いくつかの交代制で務めることになります。

認可保育所と比べて給与が少ない傾向にある

一方、給与面から考えると認可外保育施設はあまりいい環境とは言えません。やはり保育料が唯一の収入源のような状態であり、しかも、シフト性を敷いて深夜まで回すことになると、それだけの人員、費用が必要となります。しかし、もし正社員で賄おうとした場合、かなりの費用が掛かるのは明白であり、そこまでの余裕は到底ありません。給与面でもそれは同じことが言え、一般的な保育士よりはもらえる金額もあまり多くない傾向にあります。多く働き、その割に給与は少ないというのが特徴であると言えます。

さらに問題なのは、1人あたりの負担の問題です。認可保育施設では保育士1人あたりに子どもは何人までというのが決まっているだけでなく、それでもある程度の余裕を残して運用を行いますが、認可外保育施設の場合、そうした余裕を残さず、ギリギリでの運用を行おうとします。そのため、労働環境として相当大変なことになり、余裕のない状況が生じてしまいます。1人1人の面倒をしっかり見ることができないと、場合によって子どもの体調の急変などに気づかないこともあるため、そのあたりは親にとっても気がかりなところです。

1人あたりの負担が大きいということは、それだけ多くの心労が重なることを意味します。小さな子どもはまだ周りの空気を読むということができません。そのため、何かあればすぐに主張をするようになります。その対応が追い付いているうちはいいですが、追い付かなくなるとその主張の仕方が少しとげとげしいものになり、泣く子ども、怒る子どもも出てきます。そうしたものを聞いているうちに、保育士の側も相当参ってくることが言えます。認可しているところでもこうした光景はあるだけに、それ以上の大変さが認可外保育施設にはあることが考えられます。

認可外保育施設で働くメリット

とはいえ、認可外だからすべての保育所が環境が劣悪かと問われればそうではありません。むしろ雰囲気としては認可外のところの方がいいという人もいます。認可外であるため、あまり縛りがなく、やりたいことがやれるというのがあります。認可外であったとしても運用基準は認可している保育施設とほぼ変わらないところが多いため、特に意識をすることもなく、やっていくことが可能です。勤務している側にとってみても、認可外のところの方がノビノビとしていて働きやすいというケースも多く見受けられます。

今までは重大事故が発生しても、認可外のところは報告がいらないということがあり、重大事故の件数は認可している保育園よりかなり少ない状況でした。しかし、亡くなった子どもの数を見ると圧倒的に認可外の方が多く、まったく釣り合ってないことがわかり、今後重大事故が発生すればそれを報告する義務が生じることになります。こうした報告義務が生まれると、再発防止などの対策に乗り出さなくてはならず、そうした部分にお金をかけざるを得なくなるため、働き方が大きく変わる可能性も秘めています。

保育業界全体の問題

全体の問題としてあまり給与が高くないという問題は、認可の有無にかかわらず問題となっています。中でも無認可のところはその影響が強く、1日一生懸命働いてもなかなか稼ぐことができず、食事も質素にせざるを得ない状況になっています。給与面を上げることが大事であり、過酷な環境であればそれだけの報酬が出るようになれば、労働環境もいずれ改善するようになります。

実際に子どもを預ける立場ということになると、できれば認可保育施設の方が安全という意識があります。まずは実際に保育施設に足を運び、どういう環境で保育されているのかをみる必要があります。これは働く側も同じであり、保育施設を回ってみて、忙しそうだとか、これはきつそうだというのを感じ取って判断することも必要です。

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