保育士特例制度とは、幼稚園教諭の免許取得者に対し保育士試験の一部又は全科目が免除される制度です。
この特例制度の目的は、「子ども・子育て支援新制度」により実施される「認定こども園制度」への移行をスムーズにおこなうためです。「認定こども園制度」は、学校教育と保育を一体的に提供する「幼保連携型認定こども園」を設立することで子どもたちの成長を安心安全にサポートする必要があります。それゆえ、この施設で働く職員には「幼稚園教諭免許状」と「保育士資格」が必要です。改正認定こども園法では、現在のところどちらかの免許を取得していれば職員として働くことができます。ただし、移行後の5年間のうちに取得していない資格を取らなければなりません。そのため、この経過措置の5年間の間にスムーズに両方の資格を取得しやすいようにと考えられたのがこの制度です。
この制度では、幼稚園教諭免許を持っている実務経験者を対象に特例を設けることで免許取得の促進をはかっています。
保育士特例制度の対象となる人
この特例制度の対象とされるのは、幼稚園免許を取得し対象施設での実務経験を有する人です。実務経験の期間は、「3年以上かつ4,320時間以上」とされています。
主な対象施設は、幼稚園(特別支援学校幼稚部含む)・認定こども園・保育所・小規模保育事業を実施している施設・事業所内の保育実施施設・公立の認可外保育施設・離島その他の地域において特例保育を実施する施設・幼稚園併設型認可外保育施設・認可外保育施設指導監督基準を満たす旨の証明書が交付された認可外保育施設などです。
これらの施設で規定時間の実務経験があれば対象者となります。また、これらの期間は継続されていなくてもよく、通算の時間が規定されている時間を上回ればよいので現在の勤務状況に関係なく利用可能です。だから、ブランクのある人でも条件をクリアしていれば特例制度を活用することができます。
実務経験とともに必要とされるのが、指定養成施設での「学び」の部分です。この養成施設では、特例制度で必要とされている「福祉と養護」・「相談支援」・「保健と食と栄養」・「乳児保育」の4科目8単位が特例教科目として実施されます。これらを習得することで試験科目の免除を受けることが可能です。
特例制度により資格試験を受験する場合、養成施設で特例教科目を習得していなくても「保育の心理学」「教育原理」「保育実習理論」「実技試験」は免除されます。特例教科目を習得した場合には、その習得した科目のすべての免除を受けることが可能です。
また、資格試験をすでに受験し合格科目がある場合は、合格した科目が翌2年間は合格科目とみなされるためその分の特例科目の受講をする必要が無くなります。特例科目を選択する際には、自分の合格科目やすでに卒業時に修得している科目などがないかを確認してから養成施設での科目選択することをおすすめします。特例科目を習得したかどうかは、卒業した学校などで確かめておきましょう。
特例科目を習得できる指定養成施設には、通学施設の他に通信制度もあります。実務に携わっている人なら、通信教材で特例科目を取得すると便利です。仕事をしながら自分のペースで取得できるから安心です。
特例制度の受験期間は平成31年末まで
この制度における保育士試験の受験期間は、平成26年度の資格試験から改正認定こども園法施行後5年となる平成31年末までとなります。ただし、平成31年にこの制度による科目を習得した場合は、翌年の平成32年の試験までこの制度の優遇措置を利用することが可能です。
幼稚園教諭の免許を取得している人は、ぜひこの機会を利用して資格取得をしておくとよいでしょう。「認定こども園」などが増加することで、資格を取得しておけば活躍の場が広がります。折角取得した資格を眠らせないためにもW資格で幅広い活躍をすることをおすすめします。現在は幼稚園などで働いていない方でも、以前に勤務経験があり条件が満たされれば対象者として制度を利用することが可能です。子育てなどでブランクがある人には、この機会に新しい資格を取得し再就職の機会をアップすることができます。ただし、幼稚園教諭の免許を取得する以前の勤務期間は通算されないので気をつけておきましょう。また、実務経験に関しては、児童の保護に従事していることが条件となるのでその点を注意しておくことが必要です。事務などを中心とした仕事に携わっていた場合は、対象期間とされない場合があります。
新しい保育の制度として導入される「認定こども園」は、幼稚園の要素と保育園の魅力を兼ね備えたものといえるでしょう。それぞれの良さを取り入れ、子どもたちの成長により良い指導をおこなってもらえる人材を確保することは保護者としても気になるところです。しっかりとした専門的知識を持った人材を育成することで、子どもたちを安心して任せることができます。この制度により専門的知識を習得した人材の確保が、期待できるといえるでしょう。