保育

保育の仕事を通じて身に着くスキルや経験

子どもが好きという理由から保育の現場で働きたいと考える人は多いでしょう。しかし現代の現状を見てみると、人材不足であったり共働きが一般化したなどの変化から待機児童が増えていってしまい、保育を求める需要と人材の供給のバランスがとれていないという問題に直面しています。この現状を重くとらえた政府は様々な政策を打ち出していますが、待機児童0を実現させるためにはまだまだ時間も労力も必要だというのが言うまでもありません。

需要が高い保育の仕事ですが、その大変さ故に途中で挫折をしてしまう人、最初から諦めてしまう人も少なくはありません。しかしそれによって身に付くスキルも多く、人間的に成長することができるというのも事実です。なぜこの業界は人間力を育むことができるのか、そこにはいくつかのポイントがあります。

相手にするのは幼い子どもであるということ

早い人では産後休暇として与えられている56日間を休んだら、57日目から仕事に復帰するというママもいます。そのためまだ首もすわっていないような幼い子どもを預けるという人もいますし、ある程度大きくなった2歳や3歳になってから預けるという人もいます。つまり保育園という場には様々な年齢の子どもが集まるのです。

大人にとって1年や2年というのはさほど大きなものではありませんが、子どもにとってはとても大きなものです。1年もあれば立てなかった子が自分で歩くようになりますし、ミルクしか飲まなかった子がご飯を食べるようになります。日々成長を遂げる幼い子たちにとって、日常の環境というのは影響も大きくとても大切なものなのです。そのため預けられた側はその成長に悪影響を及ぼさないよう考えながら接することが大切になりますし、日常的に起こり得るケガや事故などからも守ってあげなければならないので注意力も培われていきます。

伝え上手になる

相手は大人ではありません。難しい言葉を言っても理解はできませんし、たとえ簡単な言葉で言っても全員が同じように理解できるとは限りません。そのため「どうすれば子どもたちに分かってもらえるのだろうか」ということを考えながら言葉を発するようになります。言葉の選び方や伝える際の声のトーン、顔の表情など様々な部分に気を配らなければならないためストレスはかかりますが、これは本来大人相手であっても心がけなければならない点です。つまり子どもたちに教えてもらっていると言っても良い部分なのです。この経験によって人との会話の仕方がより上手くなります。

保護者とのコミュニケーション

大切な我が子を預けている保護者にとっては自分の目が離れている間というのはとても心配です。他の友達とケンカをしていないか、遊具から落ちてケガをしていないかなど仕事をしながらでも心配でしかたがないのです。そのためちょっとしたことにでも過敏になってしまう保護者も多く、世間ではモンスターペアレントとして扱われてしまいがちです。保護者にとっては保育士というのは信頼すべき相手ではありますが、他人なので多少なりとも不安を抱いてしまうものです。多くの園児を面倒みているため自分の子どもはないがしろにされていないだろうかという不安さえ抱いてしまいます。そんな保護者側の不安を取り除いてあげるというのも仕事の1つです。その日あったことをしっかりと保護者に伝えて安心させてあげるということ、何か心配事があればそれをヒアリングしてあげるということが大切なのです。つまり子どもたちとの接し方だけではなくその保護者との接し方も考えなければならないのです。大人だから分かってくれるだろうという安易な考えでは信頼を失ってしまう可能性があるので、子どもたちと同じように保護者に対しても親切丁寧に接するということが大前提となります。

時間管理

遊ぶときは遊ぶ、お昼寝をするときはお昼寝をするというような生活サイクルをきちんと行うことが大切です。それを管理しなければならないので、時間をきちんと守り、スケジュールの管理もきちんと行わなければなりません。ただ楽しく遊べば良いという問題ではないのです。

どんな子にも平等に接する

保育士も人間です。そのため親しみを込めて自分のもとに寄ってくる子どもたちを可愛いと感じてしまいますが、中にはみんなの輪にうまく溶け込めずにいる子もいます。そういった子に対しても平等に接することが大人のつとめでもあります。「〇〇ちゃんには優しいのに私には冷たい」などというような印象を植え付けてしまうと「あの先生は子どもをひいきする」というレッテルを貼られても仕方がないのです。大切なのは平等に接するということです。

この業界で身に付くのは何も難しい知識ではありません。子どもだけではなく大人ともうまくコミュニケーションをとっていく必要があるため誰とでも接することができるコミュニケーション能力が身につきます。そして子どもたちを見る注意力や視野の広さ、物事の伝え方なども培われていきます。これは人間を相手に仕事をしているからこそ身に付くものなのです。

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