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保育士特例制度の目的とは?

保育士特例制度は幼稚園教諭免許状を保有しているものを対象とし、保育士試験の受験の際に幾つかの科目が免除になるというものです。待機児童問題、深刻な保育関係の人材不足などで揺れる我が国では、特に東京などでは認定保育園は争奪戦状態で、早急な改善が求められます。この中で、試験難易度を下げ、人材確保に取り組もうというのがこの制度となります。その制度制定の目的を具体的に、詳しく見てみましょう。

この特例制度は、平成24年のいわゆる『改正認定こども園法』によって制定された『幼保連携型認定こども園』を、カバーするためのものとなっています。『幼保連携型認定こども園』は文字通り、幼稚園と保育園がワンセットになった新しい形の保育施設で、これへの移行をスムーズにしたいという狙いが有るのです。

保育士特例制度は『幼保連携型認定こども園』と関わりが深いですから、認定こども園についてもう少し具体的に説明します。認定こども園は、幼稚園と保育園、それぞれの保育サービスを統合し、小学校に上る前のお子さんに、総合的な保育と教育を受けさせるという目的で制定されているもので、多数の特徴があります。

認定こども園では幼稚園教諭と保育士両方の資格が必須

認定こども園を運用するためには、幼稚園教諭と保育士両方の資格取得が欠かせません。これは、幼稚園と保育園という、異なる施設の側面を併せ持つ以上、避けられないことと言えるでしょう。と、言うのも、保育園と幼稚園では対象児童の年齢であったり、預かり時間であったりなど、差異が小さくありません。特に保育園では0歳児からも預かることが可能ですから、違った知識も必要となってくるでしょう。

こういった事情のため、認定こども園では、基本的に双方に対応する2つの資格を持つことが園長、保育園教諭に求められるというわけですが、早急な保育制度の見直しが求められています。なので、そう言った人材が育ってくるまで、認定こども園を運用できないというのでは、これは問題だと言うことになりました。この解決のために、「改正認定こども園法」が施行された平成24年の5年間は、片方の資格だけでも、認定こども園を運用してかまわないということになっています。2つの資格を最初から必須とすると、どうしても認定こども園への移行の前に空白期間ができてしまったようですが、この特例期間を設けることで、その空白を埋め、スムーズな体制移行を実現できるように促した形です。

ただし、これは5年間だけの限られた特例期間ということになります。この間に認定を受けたとしても、5年間を終えるまでに2つの資格を両方揃えないとなりません。つまり、特例期間の5年間に、滑り込んで認定を受ければ片方の資格でいつまでも運用できるというわけではないのです。片方の資格で始めても、最終的には両方を揃えないといけません。

特例制度は期間が限定されている

ここで、行政側は認定保育園へのスムーズな体制移行を目標としていると言う話がありましたが、それをより実現しやすくするため、資格取得の際にも特例制度を設けることにしたというわけです。既に幼稚園教諭免状を所有して勤務経験が有ると言う場合には、複数の科目を免除することで、より、保育士免許を目指しやすくなっています。注意点としては、この制度は期間が限定されているということで、お考えの場合には早めの決断が必要です。

制度の対象となるのは幼稚園教諭免状を所有し、各保育施設で「3年以上」かつ「4,320時間以上」の勤務実績をお持ちの方となります。これは、あくまでも現役にこだわる必要はありませんので、以前まで幼稚園教諭として働いて居られた場合には、現在は退職中でも、この制度を利用することが可能になります。

幼稚園教諭免状を保有して居られる場合には、働いていた施設、機関に対する制限はそこまで厳しくはなく、幼稚園以外にも、保育園だとか、認可外保育所でも勤務実績として加算できます。幾つかの施設での勤務経験があれば、合算が可能となっており、トータルで「3年以上」かつ「4,320時間以上」の勤務実績が必要ということになります。この勤務実績があれば、現役ではなくても構わないということで、保育関係の人材確保と言う目的も伺うことが出来ます。

このように、この特例制度の制定目的は、スムーズな認定こども園への移行を可能にし、そこで働けるスタッフを確保しやすくする、というのが、まず、目的と考えられます。加えて、政府は近年、保育園や幼稚園による教育水準の格差を是正し、未就学児童が小学校に入学した際の事を考えて、基礎教育の基礎と呼べるような部分の教育が重要視されつつあります。このため、幼稚園教諭免状をお持ちの場合に、保育士としての役割も果たしてもらうことによって、教育と保育を両立したサービスを提供したいという考えもあるのかもしれません。

認定こども園は、今後も行政による改革などで存在感を増してくる可能性が考えられます。この特例制度も期間が限定されているものになりますから、今のうちに資格だけ取得しておく、ということも考えてみては如何でしょうか。

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