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保育士ニーズが高いのに…退職理由が多いのは

保育士になることが子どもの頃からの夢だった…

自分が小さかった時にお世話をしてくれた先生にあこがれて…

将来、保育士になりたいと志した人の多くは、「幼かったころの先生へのあこがれ」という人も多いでしょう。

いつもニコニコと元気に園を駆け回って、子どもたちと一緒に遊ぶ保育園の先生は、同じ大人から見てもチャーミングで、頼りがいがあるように感じます。

しかし、今の日本の現状は「待機児童」という言葉に代表されるように、受け入れを待つ子どもたちが例年あふれて、子どもの受け皿となる保育所や幼稚園への入所がとっても難しいですね。

そして、さらに深刻なのは、こんなにも子育て支援機関のニーズが高いというのに、保育士資格を取得した人が、その資格を生かして働こうとしない現実があります。

理想と現実で疲れてしまう保育士増

資格取得のため、専門課程を経てめでたく保育士となり、高い志を抱いて社会に出た人の多くが、仕事現場にフラストレーションを感じ、退職してしまうというケースは珍しくないようです。

現実に、保育士不足によって園の受け入れ規模を縮小したり、園の存続が危ぶまれているという施設もあるほど。

保育士さんが退職してしまうその理由をピックアップしてみます。

退職理由その1 給料が安い

保育士の仕事は、単純な子どものお世話だけではありません。

保育園にもよりますが、朝7時前から保育にかかわるすべての準備を行います。開園と同時に登園してくるお子さんもいらっしゃいますので、複数の保育士が待機していないとパニックになります。

子どもが退所した後は、室内の掲示やお道具の整理、掃除がルーティンワークですが、発表会やお遊戯会、運動会などの行事があるときは、その準備に多くの時間がかかります。

保育士は、就労拘束時間がとても長いのです。

この長い勤務をこなし、子供の笑顔のために頑張ろう!と思えるほどの見返り(給料)がもらえれば、さらにやる気も起きるでしょう。

しかし、保育士の給料は、他の業種と比べても水準が低く、とても過酷です。 

公立の保育園や幼稚園は、公務員扱いとなり給料の安定も期待できますが、私立幼稚園、無認可保育園、認定子ども園など、規模も様々で給与体系も職場によって違います。

仕事の大変さに見合わない給料。これが、深刻かつ最も現実的な退職理由でしょう。

退職理由その2 勤務先の雰囲気や園の方針と合わない

子育てにはいろいろな考え方があって、家庭によって子どもの育て方は違いますね。

のびのび育てるか、しっかりと集団行動や規律を学ばせるか。このような方針は、保育園や幼稚園の現場でも同じように、園によって大きく違います。

保育士として働くとなれば、園の方針に沿った保育を求められます。就職するときに、ある程度のリサーチをして、共感できる施設で働きたいと思い選ぶでしょう。

しかし、実際の保育現場は理念や方針と全く異なっていて、そのミスマッチが次第にひずみとなって不満が溜まり、やめてしまうという保育士さんもいます。

退職理由その3 保護者との関係

子どもが笑顔で力いっぱい遊ぶ姿や、真剣に一つのことに取り組んでいる姿は、見ていて微笑ましくなりますね。子どもが園での活動を楽しいと思えるように、保育士さんはいろんな取り組みをして、時間を惜しんで働きます。

それでも、傍から見る親の目は厳しいものです。保育施設に預けている子どもの親の誰もが、「園の先生にお任せします」と言ってくれるわけではありません。

親のひいき目は、トラブルのもとにもなります。子どもへの接し方や話し方、ケンカをしたときの対処、立ち振る舞いにまでクレームをつける親は、少なからずいます。

一生懸命に取り組んだ仕事に対して、親の評価が低い・トラブルが起こる、ということが続けば、保育士として頑張っていこうというモチベーションも保ちづらいでしょう。

退職理由その4 職場の人間関係とストレス

保育士は、経験を積めば積むほど「子育てのプロ」として成長していける仕事です。いろんな子どもの成長を通して、自分のスキルアップを図ることができます。

仕事の中でのつまずきや迷い、悩みは、解決した時に「経験」として自分の力になるでしょう。しかし、その経験をすでにたくさん積んで、たくさんの子どもをお世話してきた、先輩や園長の存在は、経験の浅い保育士にとって学ぶべき師であり、脅威にもなります。

先輩のいうことは絶対。園長には逆らえない…。威圧的な雰囲気の保育士や運営者がいる現場は、離職率が高くなります。

出身校や実習同期など、仲間意識が強い園も、保育士同志の人間関係にトラブルが起こりやすいです。

 

現代の子育てに、保育士の存在はとても貴重で、ニーズも年々高くなっています。資格を持っている人が、少しでも働きやすい現場環境を整えるには、このような大小さまざまな退職理由を、ひとつずつクリアにしていく取り組みが必要です。

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